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大手各社も・・・宅配業界の厳しい現状

段ボール

宅配業界の人材不足、賃金問題

2017年4月に、宅配便大手のヤマト運輸がネット通販大手Amazonとの契約を一部打ち切るというニュースが流れました。
これはそれまでAmazonとの契約が非常にヤマト運輸側にとって不利なものであり、違法な長時間労働やドライバーへの負担が過剰になってしまったことを受けてのことです。

日本において、Amazonはネット通販の最大手となっていましたが、その背景となっていたのはヤマト運輸による素早く正確な運送業務によるところが大きいと、かねてから指摘をされてきました。
もっともヤマト運輸が契約の一部打ち切りを発表したのはAmazonだけに限ったことではなく、その他にも継続的に契約をしてきた法人のうち、採算割れをしていた部分全てを対象にすることにしています。

この報道がされる直前までは、ヤマト運輸は5年間で約4億4千万個増加するという過剰状態にあり、それでいて荷物1つあたりの収益は40円程度低下していたということが公表されています。
Amazonからの出荷は低価格なものが多く、それがヤマト運輸の負担を大きくしてきたということも明かされました。

もともと宅配業界は人材不足が指摘されており、ドライバーは慢性的に長時間労働状態になっているということから、今後も同様のことを続けていると、人材そのものがつぶれてしまうということが影響しています。

ヤマト運輸は業界最大手として27年ぶりに宅配便料金を値上げするとともに、従業員への還元を高めるということを明らかにしました。
これにより他の運送会社も続くことが検討されており、今後業界全体の待遇改善が行われるのではないかと予想されています。

負担軽減のための取り組み

ヤマト運輸は2018年の春闘において、ベースアップや定期昇給を合わせて平均1万1000円の賃上げをすることを決定しました。
賃上げ率は前年2.1%アップのところを大きく上回る3.6%となっており、これも2017年の大英断とも言える法人契約の見直しが影響していると言えます。

そもそもどうしてトラックドライバーの長時間労働が慢性化しているかというと、これは業界全体の構造が関係しています。
荷主に対してドライバーの立場が極端に弱く、無理なスケジュールで運んだり、経由する荷物が到着するまで数時間待たされたりといったことが多く見られました。
しかもそうした待ち時間分の給与は発生しないということも多く、結果的にサービス残業のような扱いになってしまうのです。

そこで現在ではそうした業界全体の構造を変更し、適切な休憩がとれるような体制をドライバー間で作る動きが取られています。
長時間運転は事故のもとにもなる危険なものなので、今後一層の取り組みが期待されていると言えるでしょう。