選挙権引き下げの目的
2016年7月に行われた参議院議員選挙において、初めて選挙権年齢が18歳以上にまで引き下げられました。
日本においては20歳を成人として定めていることから、選挙権のみを18歳に引き下げるというのはやや抵抗感のあるものでしたが、施行から約2年が経過した現在においてはそれほど混乱なく受け入れられているようです。
もともと選挙権は全ての国民に与えられた権利というわけではなく、わずか200年ほど前までは選ばれた身分の人のみが可能な権利となっていました。
当初は一定の税金を納めた25歳以上の男性のみであった選挙権が、1925年からは全ての25歳以上の男性となり、その後1945年からはようやく20歳以上の全ての男女に選挙権が認められるようになっています。
そのため、選挙権の拡大そのものは特段珍しいものではなく、時代の流れによる権利拡大の中で当然に行われるものと言えます。
なぜ今このタイミングで18歳に年齢引き下げを行ったかということですが、その最大の目的は「若者の意識を選挙に反映する」というためです。
現在は少子高齢化の影響により、高齢者の人口が多く、どうしても政策が高齢者寄りになって、若者が置き去りになってしまっている部分があります。
そこで若い世代に選挙権を与えることにより、若者寄りの政策をする政治家が選ばれやすくするということを目的にしていました。
その後の若者の意識の変化
実際の選挙率への反映ですが、初めての選挙となった第24回参議院議員選挙では18歳の投票率は51.28%、19歳の投票率は42.30%でした。
選挙率全体は54.70%という結果であったことから比較をすると、それほど若者が関心を持ったとは言い難い結果です。
しかし、20~24歳までの投票率がわずか33%であったということと比較をすると、まずまず関心を持ってもらうことはできていたのではないでしょうか。
以前より、若者が選挙に行かないとドンドン若者にとって不利な政策がとられていくということは指摘されていました。
それでもこの投票結果にとどまっていることを考えると、選挙制度そのものについての意識が低いのではないかということも考えられます。
選挙は国民の権利として定められていますが、義務というわけではありません。
オーストラリアなどの別の国では、投票に行かない人に罰則を設けるなど義務としている場合もあるのですが、日本ではそこまでの意識はないようです。
そもそも政治への関心というよりも、政治家への信頼がないということから「投票しても何も変わらない」という気持ちが、若者の間で冷めた意識として共有されていることも考えられます。
ただ年齢を下げるだけではなく、どう関心を持ってもらうかということから考えていく必要があるでしょう。