就職氷河期の苦労
1990年代に新卒として就職活動をしてきた人たちにとっては、当時はまさに「就職氷河期」の真っ只中でした。
その年代に20代前半だった人たちも、現在ではすでに40代を迎えていることになります。
当時のことを知る人に尋ねて見みると、当時は本当に就職先を見つけることが困難で、求人そのものが非常に少ない状況にありました。
「仕事に就くことができればそれで幸せ」というふうにも言われており、とても自分の希望する職種に就職するなんていうことは、よほど高学歴の人でもなければできないことだったのです。
若干名募集という求人に学生100名近くが集まることも全く珍しくなく、それどころか学生時代に第一希望に考えてきた大手企業がその年は新卒採用ゼロというようなことも頻繁に起こっていました。
その10年ほど前にあったバブル期では全く逆で人材不足が著しかったことから、企業が学生をつなぎとめるために説明会で海外研修をしたり、豪華なツアーでもてなしたりといったことが行われていただけに、そのギャップはかなり大きなものとして考えられました。
フリーターになる人もこの当時はかなり多く、第二新卒を狙ってもほとんど募集がないということもあって、その後定職に就くことができずに30代というような人も非常に多くいたのです。
売り手市場の就活の現状
しかしそんな極端な採用手控えをした反動もあって、景気が回復基調に入った現在では、再び多くの学生を企業が募集するようになっています。
依然として有名企業においては実質的な学歴フィルターなどがあるとされているものの、一方で中小企業では学生や新たな社員が全く入って来ないことから、人材不足由来の倒産が起こってしまうほどになっています。
大卒の求人倍率調査は2018年卒では1.78倍とかなり高い水準となっており、前年度2017卒の1.74よりも上回る結果となりました。
全国の民間企業における求人総数も75.5万人と、これも前年度から2万人以上上回る結果となっていて、今後も徐々に人材を求める企業が増加していくことが予想されます。
特に深刻なのが従業員300人未満の中小企業で、求人倍率は6.45倍と非常に高い数値となっています。
逆に従業員数5000人以上の大企業では求人倍率は0.39倍と、極端と言ってもよい差がついていることが分かります。
0.39倍という数値は就職氷河期中の求人倍率を彷彿とさせるものですので、大企業への就職を希望している学生にとっては、就職氷河期でかつての学生たちが体験した気持ちと同じものを味わっていると言えるでしょう。
学生側有利の売り手市場と言われてはいるものの、なかなかその売り手と買い手とのギャップは埋めがたいものがあるようです。